日本版CCRC研究のための米国CCRCツアー

地方創生の中で日本版CCRCへの注目が高まっています。米国にCCRCはおよそ2千カ所あり、80万人程度の後期高齢者が人生を楽しみながら、医療・介護の心配のない環境で暮らしています。
風土、文化、制度の異なる日本において、どんなアイデアを持って日本版CCRC実現していけばいいか、研究していく必要があります。百聞は一見にしかずといいますので、実際のCCRCを視察、研究するツアーを企画しました。訪問先は、私がCCRCの研究のきっかけとなったエリクソンリビングのチャールズタウンを含む7つのCCRCとアクティブアダルト・リタイアメントコミュニティ(AARC)を視察します。
以下に7つのCCRCとAARCについて紹介します。
◆チャールズタウン・エリクソンリビングCCRC
エリクソンリビングは、1981年ジョン・エリクソン氏によって創設された米国を代表するCCRCの一つです。エリクソン氏は、それまでフロリダ州で70歳以下の元気な高齢者夫婦の戸建て住宅(Active Retirement Community) の開発を行っていました。そこで、年齢が70歳を超えると疾病や障害に罹患する傾向があり、夫婦のどちらかが亡くなるといったことも少なくないことを知るようになります。一方、医療、介護の不安がなく暮らせる高齢者住宅がほとんどないのに気づいたのです。当時、CCRCはありましたが、一時金の返還がなく、富裕層のためのものがほとんどでした。そのような時、友人からメリーランド州、ボルチモアに大学(セイントチャールズ・カレッジ)が廃校になり、売りにでているという情報を得ました。その廃校を見た瞬間に中間層が入手できるCCRCを作ろうと閃き、エリクソンシニアリビング第一号となる“チャールズタウンCCRC”の開発に取り組みました。
まず、大学校舎を改修して200室の自立型住まいをつくり、満室になった時点で、さらに200室の改修を行いました。その後、入居待機者が500名以上あったので、500室の自立型住まいと、支援型住まい、介護型住まいを新築しました。最終的には医療センター、リハビリセンター、訪問介護・看護ステーションをもち、医療、介護の心配のないCCRCを作り上げました。1993年にすべてが完成し、自立型住まい1,570室、支援型住まい132室、介護型住まい270室となりました。このCCRCが人気を集めたのは、多くの中間層が入居できる入居一時金100%返還のシステムと継続したケアを提供するための充実した医療・介護サービスシステムを構築したためです。
◆ライダーウッド・エリクソンリビングCCRC
エリクソンリビングとしては最大規模のCCRCで、1999年から開発されました。チャールズタウンと同じメリーランド州にあります。自立型住いが1,966室、支援型住いが160室、介護型住いが212室あります。ライダーウッドも入居一時金が100%返還されます。
◆グルーンスプリング・エリクソンリビングCCRC 
 エリクソンリビングがヴァージニア州で開発したCCRCで、自立型住いが1,409室、支援型住いが100室、介護型住い(スキルド・ナーシング・ユニット)が180室ある。最初のチャールズタウンと比較するとダイニングを中心に設計が新しいデザインになっています。なお、グリーンスプリングは入居一時金の90%が返還されます。
◆アズベリー・メソジスト・ビレッジCCRC
米国で12番目に大きなCCRCです。NPO法人メソジスト・システムの一部で、自立型から要介護型までの完全な継続ケアを行っています。自立型は、一戸建てのコートヤードホーム、連棟式住宅のヴィラ、マンションタイプの住宅から選ぶことができます。また、認知症ケアやリハビリテーショ ン治療のサービスも行っています。
メープルウッド・パーク・プレイスCCRC
 入居者自身が所有し運営するCCRCです。入居者からなる運営委員会が最終決定権を持っています。一棟のマンション形式の建物のなかに、207の自立型住まい、21の支援型住まい、31の介護型住まいがあります。医師がCCRCの建物の中で医療相談を受けるサービスを行っている他、あらゆるサービスがCCRCの建物のなかで受けられま
ベッドフォード・コートCCRC
 1981年に設立され、全米とカナダおよび英国に300近い高齢者コミュニティを運営するサンライズ・シニア・リビング社のCCRCの一つです。長い経験と多くの実績に基づいたサービスとケアで高い評価を得ています。特に知的好奇心や運動能力を活性化させる多彩なアクティビティが好評です。なお、自立できなくなった入居者には多くの介護サービスのオプションが用意されています。
◆レジデンス・アット・トーマス・サークルCCRC
ホワイトハウスにも近いワシントンDCの中心地にあるCCRCです。家族が旅行などで不在の時、家族が介護疲れから一時的な開放を味わうために、短期間高齢者を預かるショートスティサービスも行っています。また自立者のためのウェルネス・センターがあり、健康増進のため医療相談などの様々なサービスを受けられます。
◇レジャーワールド・イン・メリーランドAARC
メリーランド州にあるレジャーワールドは、CCRCの入居者よりもかなり若い高齢者が移り住む「アクティブアダルト・リタイメントコミュニティ」(AARC)、55歳以上が住めるコミュニティで「+55コミュニティ」ともよばれるものです。レジャーワールドは敷地内に、5,600戸の戸建て住宅があり、約8,000人の高齢者が住み、コミュニティをつくっています。コミュニティ内には、18ホールのゴルフ場、2つのクラブハウス、屋内と屋外にスイミングプール、テニスコート、レストラン、シャトルバスサービス、および薬局併設のメディカルセンターがあります。

参加ご希望の方は、NPO法人高齢者健康コミュニティの次のホームページ  http://jpccrc.org にアクセスしていただき、申込み用紙で応募して下さい。
 

日本版CCRCについての特別講演


「まち・ひと・しごと創生総合戦略」の中において、日本版CCRCの検討・普及が関心を高めています。
日本版CCRCの背景、米国のCCRC、日本版CCRCを作り上げていく上での、日本の規制等の問題点について講演します。
特別講演は、医療福祉経営マーケティング研究会の第5回学術会議でプレゼンさせて頂きます。
日時:平成27228日(土)1330
場所:九州大学医学部 総合研究棟102号室(九州大学病院地区キャンパス内)
詳細は次のWebサイトをご参照ください。
http://www.hc-market.net/archives/cat_17.php
 
関心のある方はご参加ください。
なお、講演の背景、概要については、以下のとおりです。
 
「日本は、超高齢化、人口減少、多死社会といった問題が進行するなか、地域包括ケアシステムを実現し、社会保障制度を持続可能なものにするためには、高齢者ケアの新しい仕組み作りが必要となってきています。すなわち、今まで高齢者は寝たきりになってから、あるいは認知症が重度化してから、医療機関や介護施設でケアされてきたが、これからは、心身の障害の発生や悪化を予防する高齢者ケアが求められています。
 欧米では、後期高齢者を対象として、自立した高齢者を支援する自立型住まいが整備され、介護予防の役割を果たしていますが、日本では「自立型住まい」という概念が未だ生まれていません。しかし、高齢化が加速していく中で、日本においても自立型住まいを整備していき、介護予防を重視した継続したケアを行うシステムを構築する時機がきたのもといえます。
 高齢者健康コミュニティとは、米国のCCRCを参考とした概念であり、「高齢者の変化するニーズに応じて生活支援・健康支援・介護・医療サービスを提供する複合施設と自立型、支援型、介護型高齢者住宅及び高齢者自宅をネットワークで結び、地域包括ケアシステムの機能を満たすコミュティ」と定義され、自立型住まいを中心とした継続したケアを行えるシステムであります。
 講演では、米国のCCRCを紹介するとともに、日本版CCRCの定義、理念等を説明し、和光市で運営している日本版CCRC「高齢者健康コミュニティ」の現状と課題について紹介します。

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