鹿児島・高齢者健康コミュニティ(日本版CCRC)モデル

日本民族の特性について、以前、ある研究者が次のような内容のことをいったことを覚えています。「日本人はぎりぎりまで我慢する。どうしても、もう我慢できなくなったとき、いっせいに回り右して違う方向に一斉に走り出す民族である。」。例えば、明治維新と太平洋戦争の復興が近代史の中での代表的なことではないでしょうか。この二つの出来事は世界的には奇跡的な変身であるとも言われています。また、2010年4月3日の日経新聞・春秋に次のような内容がありました。
「スピード、スピード、これからの歴史は、今までの何倍、何十倍のスピードで進む。起ち上がるのも、亡びるのも、われわれの考えもおよばぬほど早い時代なんだ。」4月1日の入社式でこう訓示したトップがいてもなんの不思議もないでしょう。が、実はこれは太平洋戦争敗戦1週間後の1945年8月22日、海軍大阪警備府司令官の地位にあった岡新(おかあらた)中将の記者会見での発言です。その一言一句を毎日新聞記者だった藤田信勝が日記に書き残していました。65年前と今とがピタリ重なることに驚き、「軍閥の末席を汚した」と自嘲する軍人が発した言葉であることに、また驚きます。
 岡中将の呼びかけは続きます。若い時のひらめきには概して間違いがない。ひらめくことがあったら、それを深くふかく、徹底的に掘り下げて考えてみてください。そして一つの結論に達したら、影響力のおよぶ範囲でいいから強く執拗に主張する勇気をもつこと・・・。
 わが国はいま、財政的に、また政治的にこの過去2回の転換に等しいような大きな変身を求められているのではないかと思われます。明治維新のときの黒船到来、太平洋戦争の原爆投下に匹敵するような日本へ大変身をうながす歴史的なイベントが起こるのかもしれませんと考えます。
 私たちは、日本の大きな問題である医療、介護の問題に対する新しい提案「高齢者健康コミュニティ構想(日本版CCRC)」をおこなっています。いま、わが国は有限な社会資源を効果的、効率的に活用していくことが不可欠です。多くのシンクタンク・機関がこれからの医療、介護のあり方について研究、提言を行っていますが、日本経済新聞社は、いざというときに必要な医療が受けられないのではないかという不安や、地域間・診療科目の医師偏在など医療・介護を取り巻く深刻な状況について「医療・介護改革」(井伊雅子一橋大学教授、印南一路慶応大学教授他)の提言をまとめました。具体的には15年後の2025年を目標に^緡田鷆‖寮の改革、高齢者医療と介護保険の再編、J欷浦眄の持続性向上について対応策をまとめました具体的な要旨は次のとおりです。
 病院の外来患者を制限する代わりに様々な病気をひと通り診る「家庭医」を育て、患者はまず家庭医に行く仕組みを求めています。すなわち、日本では健康保険証を持つ人は病院、診療所を問わず、どの保険医療機関にかかってもいいわけです。この制度は患者の安心につながってきましたが、少し体調が悪いだけでも検査設備が整った病院に行けばいいという思い込みをもつ人を増やしました。このため、病院の勤務医や看護師は忙しくなり、専門医療が必要な患者に密度の濃い治療が必ずしも提供できない一因になりました。それを改善するため、大学病院や専門病院は容態が一刻を争う救急患者への対応や急性期患者の入院、手術などに専念するように求めています。
 体調が悪くなった人は、まず近所の診療所で家庭医の診察を受ける。専門的な検査、治療や難しい手術などが必要と診断されれば、紹介状によって病院に行く仕組みに改めます。紹介所を持たずに病院の外来を訪れた場合、患者の負担を大幅に増やして「まず家庭医へ」を徹底させる。(例えば、よく比較される英国の医療制度では、ゲートキーパーといわれるGP(家庭医)がこのように機能しています)
 家庭医は様々な病気をひと通り診られる広い知識を持ち、日常の初期診療に責任を持ちます。訪問診療や往診、時間外相談にも応じます。大学医学部は家庭医を早急に育成し、関係学会が厳しい資格試験を実施して信頼できる家庭医を増やし、資格を持つ家庭医の診療報酬を多く配分して支援する。
 老人病院などの療養病床に入っている高齢者は、介護施設や介護サービス付の有料老人ホーム、または自宅などに移り、必要に応じて医療を受ける方が生活の質が改善する人が多い。そうした人を「入院から介護へ」と誘導するための政策も求めました。有料老人ホームなどを民間がより自由につくれるような規制改革や療養病床への診療報酬・介護報酬の減額なども求めています。
 「入院から介護へ」の徹底、家庭医の制度化による検査や投薬の重複解消で、医療や介護の公的支出は減少します。薬の特許切れ後に同成分でつくる後発薬の普及も医療費膨張を抑えるのに有効です。こうした効率化でむだな支出を減らししつつ、必要財源を確保します。
 非効率さを解消してサービスの質を高める一方、消費税率や保険料の引き上げで財源を確保し、制度の持続性を高める必要性を指摘しました。

これから、高齢化がいっそう加速し、社会保障制度の財源が今まで以上に、効果的、効率的に活用されていくことが求められていく中で、私共が提唱している「高齢者健康コミュニティ構想(日本版CCRC)」は療養病床の入院患者を在宅へシフトしていく中でも、有効なモデルだと考えます。現在私共は、鹿児島の医療法人と「高齢者健康コミュニティ構想(日本版CCRC)」に基づいて、加治木しあわせの杜計画を進めています。その計画の核となる在宅介護支援複合施設が5月10日にオープンします。私共は、オープン後も、その経過を測定し、改善し、社会に貢献していけるものにしたいと考えています。なお、詳細については「医療福祉経営マーケティング研究、第4巻 第1号」 窪田昌行 他をご参照ください。


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